マネー資本主義 第4回を見て
リクエストにお応えして、NHKの「マネー資本主義 第4回 ウォール街の“モンスター" 金融工学はなぜ暴走したのか」の再放送を録画して見ました。非常に説明するのが難しい分野だけに、概ねわかりやすい説明はできていたと思います。ただ説明に時間を取られすぎて、ベアやリーマンの破綻や、AIGの国有化の要因説明がきちんとできていなかったのはどうなんだろうか・・・というより、そこまでの説明を50分間に収めるのは不可能なんで入れなきゃ良かったのにという気はしましたけど。
ベアやリーマンの破綻は、このような証券化商品の損失で儲からなくなり格下げなどで信用力が低下したために、資金調達ができなくなったのが大きな要因です。預金を有する銀行と違い投資銀行は前回説明したレポなどのマーケットでの資金調達に多くを依存していますが、信用力が落ちたらもう自力で資金は取れません。他の主要銀行などは各国の政府が支援して助けてあげたんですが、この2つは助けてもらえなかったということ。
以前にここでご説明した「サブプライム問題」の根源の部分は、まさにこの金融工学によって生み出されたものですが、CDSの存在自体がいかんとはワタシは思っていません。あまりにリスクを軽く見すぎていたというか、良くワカッテナイ人が関わりすぎていたというのか・・・。そういえば、07年の終わり頃には、番組でビーカーの上の綺麗な水の部分(スーパーシニアなんて言います)を持っている「だけ」なので、損が出ることはない!と強弁されていた、ケッタイな金融機関のお偉いさんもいらっしゃいました。
そうそうAIGがCDSの受け手というなら、「モノライン」と呼ばれる保証専業会社のことにも触れて欲しかったですね。どちらも「AAA」という最上格の格付けを持っていて、AIGはCDSの売り手(リスクの引き受け手)に、モノラインはCDOの保証を行っていたのですから。いずれも、CDO等の証券化商品の中で、番組でやっていた浄化された上澄の「AAA」の部分を保証していました。だからほぼノーリスクで保証料だけ稼げると思っていたら・・・というワケ。それも実際に保証した商品の多くがデフォルトして元利金の支払いを肩代わりしてあげたワケではなくて、将来的な損失リスクが大きいという理由で「格下げ」されていったのがモノラインやAIGがタイヘンなことになった主因だから困ったものです。
それと評価損とか減損とかの「時価会計」問題にも言及して欲しかったですね。別に売買していなくても、売買目的で保有している商品(有価証券)は、基本的にフェア・バリューという「公正価値」というもので、毎四半期末に値洗いして、時価が下がっているだけで、P/Lにヒットする(損が立って収入の部分にマイナスの効果を及ぼし、一定以上になると強制的に減損処理しないといけない)ことで、こういう証券化商品を持っていた投資家や金融機関は苦しめられてきたワケですから。
「市場は生き物」だと言われていますが、それは生身の人間が関わっていることなので、確率論でリスクが管理できるほど甘くはないということ・・・つまり人間って理屈どおりには動かないことが多々ある訳でして。長年マーケットなんていうものに関わっていて、何度もえ~!なんてことはありましたけど、今回のような「ノーマーケット」なんて事態がこんなに長く続いたのは初めての経験です。そんな中、懲りずにまたリスクを分散するスキームを考えているんだとか。それも今度は自然を相手に数学で立ち向かうらしく・・・そりゃ無理があるでしょって直感的に思いますけど。前にも言いましたけど、結局この手の方々は以前の状態に戻れるとホンキで思ってらっしゃるようで・・・とっくにパラダイム・シフトが起こっているんですけどねぇ。
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