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2006年11月26日 (日曜日)

葛飾柴又のラブソング

・・・まるで「寅さん」でも出てきそうなタイトルなのだが、実は井上陽水氏の名曲『桜三月散歩道』のサブタイトル。ご存知のようにこの楽曲は日本初のミリオンセラー・アルバムとなった陽水氏の『氷の世界』に収録された1曲。ただ、ここでサブタイトルを紹介しているのは、曲名こそ同じだが長谷邦夫氏の詞はオリジナルのもので、赤塚不二夫氏が1972年から73年にかけ全6冊発刊した「まんがNO.1」の付録ソノシートに収録されたものだ。

それがこの度、30数年の時空を越え、赤塚不二夫のまんがNo.1シングルズ・スペシャル・エディションとして蘇ったという訳なのだ。その構成は、全6冊から再録された「ベスト・オブ・まんがNO.1」(全252頁)と、付録ソノシート全6曲をリマスタリングCD化したもののセットになっている。

「この」『桜三月散歩道』は、第5冊の付録ソノシートに収録されていたものだが、マスター・テープ紛失のため、ソノシートをマスターとし、「録音当時の熱気やヴィヴィッド感を損なうことのないよう」通常のノイズ除去等の作業をしていないものだ。確かに聴いてみると、「ブチッ」という音や、マスターのソノシートが経年変化で波打っているのか音の歪みはあるのだが、それが「あの頃」の空気感をストレートに伝えてくれる。

『氷の世界』に収録されているそれと基本的には同じながら荒削りなアレンジと、陽水氏のまだ売れていない頃の力強いながらもナイーブな感性が前面に出ているボーカルがあいまって、私はうかつにも「ホロ」っときてしまった。詞に関しては長谷邦夫氏のオリジナルそのもので、「革命だ」という詞にドキリとさせられたり、特徴的な朗読の部分に関しても、『氷の世界』ではそれを陽水氏が独自にまとめて、具体性を帯びた部分を削り、「どこかわからない」川の堤の少年時代の世界を表現しているのだが、オリジナルには「江戸川の堤」や「帝釈天」という具体的な地名が出ていて、ここで朗読している大野進氏(レコーディング・エンジニアとして当時のアルバムにそのお名前がクレジットされている)の妙にダミ声的な擦れた声のミスマッチが面白い。

メインとなる本の方は、いきなり赤塚不二夫氏の裸が表紙で(もちろん隠してますよ・笑)、漫画や写真など、今となっても尚ちょっと読むのもはばかられる内容だが(笑)、そして当時の私はこのような本を読む年齢に達していなかったが(笑)、その当時の「エログロ」、「ナンセンス」、「ゲリラ的」というような空気が蘇ってくるようなもので、妙にいい時代だったのかなぁ・・・などと思ってしまった。

この『桜三月散歩道』・・・そういう時代の空気に浸ってみると、「葛飾柴又のラブソング」と言われても違和感がなくなってくるから面白い。

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