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2006年7月 1日 (土曜日)

LOVE COMPLEX

Love_complex
6月28日に発売された井上陽水氏の4年ぶりの新作「LOVE COMPLEX」を、何度も聴いている。少しだけ感じたことを・・・。ジャケットからして奇抜・・・というよりこのアルバムが提示してくれる「自由」を表象しているのかも知れない。顔にアルミ箔のようなものを被せて、サングラスをかける・・・この姿だけで「井上陽水」だとわかる存在感にまず驚かされる。

陽水氏は99年から怒涛のライブをこなしている。今年も例外ではなく7月5日の東京を最終日とする「井上陽水コンサート2006」を展開しているのはご存知の通り。そのツアー構成は前半に弾き語りで昔の曲を、そして後半に息の合ったバンドとヒットナンバーや新曲を交え、プロのシンガーの凄みをベースにしならがら、肩の力が上手く抜けながら楽しそうに会場を盛り上げてくれている。アルバム作りにしても、以前なら「ストイック」という言葉がぴったりくる作り込んだものが多かったような気がするが、今回のアルバムを聴いてまず感じるのは、ライブ同様に肩の力が上手く抜けて、聴き手に対する自由度を更に高めているということだ。

アルバムを通して聴けば、サビを中心としたキャッチーなメロディや、韻を踏んだ耳障りでないのに何か引っかかるキーワードが出てくる摩訶不思議な詞の世界、そして陽水氏の「変幻自在」という表現がピッタリくるボーカルが三位一体となって、なんとも言えぬ居心地の良さや、愛、自由を感じさせてくれるだろう。なぜそう感じられるのか・・・おそらくはこれまで以上に「聴き手の解釈の自由」の余地を大きく残してくれているからではないだろうか。

全く陽水なんて知らない、興味がない人(どこかで聴いたことや音楽の授業で習ったりしたことはあるのだろが)が、このアルバムを聴いたとしても、そのどこかで聴いたかのような耳に優しいメロディと、表面的には何の意味もない詞が、「ただ」流れてくるだけで、バックグランド・ミュージックとして申し分ないのではなかろうか。決して詞の意味を聴き手に押し付けることなく、ただただ韻を踏んでいて耳障りの良い言葉の羅列(のように見せる)が物理的に聞えてくるだけだとも言えるだろう。

だがいくつも散りばめられている「キーワード」に引っかかり・・・「あれ?」と。例えば「ナビゲーション」の「たまねぎレモン」、「蜘蛛の巣パラダイス」の「揚子江 渡って 真珠湾」などなど。そうやって「どういうこと?」から、聴き手がそれぞれの世界観で、陽水氏の詞の世界に入り込んでゆき・・・気が付くとそれぞれの世界が頭の中に広がっているような・・・。

「何かをいつまでにしなければ・・」、とか「こういう時はこうすべき・・・」など、この世の中には「自由」にいかないことがゴマンとある。このアルバム発売の日、朝日新聞に全面広告で、井上陽水氏の直筆によるラブレターが公開されていたが、その一節にこんな言葉がある。

「なにせ社会のルール、常識、慣例など 様々に決まりがございまして 私などは気が遠くなりかけております」
これは陽水氏だけが感じていることではなく、溢れる情報に埋もれ、無駄を禁じられ、余裕をなくしたタイヘンな世の中で暮らす人全てが感じていること・・・つまり「自由」なはずなのに「不自由」なこと・・・だからこそ、この世で「腹の足しにもならない」という意味で「無駄」な「音楽」くらいでは、その「自由」を感じて欲しい・・・そんな受け止め方をしている。そして私はMUSICを「音楽」、つまり「音を楽しむ」と翻訳した方の感性を実感している。


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コメント

カキコミ有難うございます。
私の場合、陽水氏の詞って、その時の気分で解釈が随分と変わるんです。そういう意味でいろいろ思ったことを記録しておこうと・・・。曲と詞のバランスなら「サイケデリック・ラブレター」が一番だと思います。詞の斬新さなら「蜘蛛の巣パラダイス」。詞の深み・巧さなら「あなたにお金」でしょうか。

投稿: HIRO@YOKOHAMA | 2006年7月 2日 (日曜日) 22:55

『LOVE COMPLEX』を歌詞カードを見ずにデジプレに写して聴いているんですが、“たまねぎレモン”って言ってたんですねw。キャビアがためねぎレモンってかなりの妥協のような。。(笑)まぁメロンにレモンをかけるくらいだから満更でもなかったり。。(笑)しかし歌詞カード見るだけでも十分楽しめるってなかなかいませんよねぇ。。これだからやめられないんですよ。感覚が若いとか、共感を得てるとか、世間の思惑を超越してる感じで逆に清清しいです。。個人的には「サイケデリックラブレター」「あなたにお金」が好きですね。

投稿: なかしょう | 2006年7月 2日 (日曜日) 02:46

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