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2006年3月28日 (火曜日)

『新しい恋/長い猫』レビュー(追記)

井上陽水氏の久々のニューシングル『新しい恋』が29日に発売ということで、いつものようにその前日に買ってきた。そしていつものように早いだけが取り柄のレビューを少し。
Atarashiikoi

(新しい恋) ザ・サントリーオールドCMソング
あの町田康氏の詞の世界が陽水氏の曲と絡み合い、聴けば聴くほど味わいが出てくる作品だ。さらっと聴けば、曲調も、サックスを交えた鈴木茂氏のアレンジも、そして「新しい」がリピートされる詞からも、最近の「新しい」ミュージシャンがやたらと連発する「前向きに生きるべき道を探そうぜ」的なものに迎合してるのか?という感じさえ覚える。「やさぐれ」、「バックレ」などという言葉を入れているので尚更だ。しかし「オトナ」の世界は一筋縄ではいかない。「新しい」の後につく「きっと」というフレーズが微妙に効き、その後は、ああだこうだと言いながら、現状から抜け出せない閉塞感を嘆いているのではないか・・・そんな気分の転調を陽水氏のボーカルが上手く表現している。

(長い猫)
この詞は陽水氏と依布サラサさんという方のダブル・ネームになっているが、詞の世界観は陽水氏。元安全地帯の武沢豊(侑昴)氏のアレンジ、ギターが小気味いいロックなナンバーだ。陽水氏のボーカルもハイテンションで弾けていて、是非ライブで聴いてみたい。

P.S. リピートで何度も聴いている中で気が付いたことを少し。陽水氏のボーカルが「怪しさ」というか「妖艶」さを秘めていると感じられるのは、子音の「i」の部分を強調した氏の歌い方にあると思っているのだが、この『長い猫』を聴いていたら、特にその「i」の部分(例えば「気付かれずに」の「に」の部分)の強さが印象的だった。

そして見事なまでに韻を踏んでいることに気が付く。例えば1番の歌詞なら、a->u->a->u->i->i、つまり瞳「は」、遠「く」、毛「は」、深「く」、気付かれず「に」、待つ「私」といった具合に途中を除き全てそういう流れになっているのだ。それは途中に交えた英語まで・・・シャー「プ」、ナイー「ブ」と。

そういった意味で、韻を美しいまでに踏んだ詞と、「i」を長めに強調して歌い、他は短めにさらっと歌う陽水氏のボーカルが、見事なまでに計算された「アート」の世界を紡ぎ出している。

このシングルはダブルA面ということで、ジャケットも「新しい恋」はソファーでギターを抱え笑顔の陽水氏、「長い猫」はしっぽの「長い」赤い猫に、バーコードが魚の骨になっているしゃれたイラストに飾られている。余談だが、ジャケットの陽水氏が押さえているコードはD。以前トータス松本氏のラジオ番組に出演していたときの「空振り奏法」エピソードのコードもDだったような・・・と思い出し苦笑い。

さて横浜の某大手CDショップにこのCDを買いに行ったのだが、ニューリリースのコーナーに見当たらず、さりとてJ-Popの50音順のコーナーに井上陽水のコーナーもない・・・そしてふと遠くを見ると「フォーク」なんてコーナーを発見。ひょっとしてと思ったら案の定。陽水氏は「フォーク」じゃないんですけど・・・。全くイマドキのCDショップの店員は・・・まさにこれが「新しい恋」の世界観なのかも・・・

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