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2005年11月19日 (土曜日)

井上陽水 X 奥田民生 ライブ・レビュー

大都市を意図的に外し「僻地」シリーズとも呼べる地方でハコの小さなホールばかりのツアーを敢行していた陽水氏。やきもきしていた首都圏のファンは、冬のスペシャル・ライブが名古屋・大阪のブルーノートの他に恵比寿ガーデンホールで行われるとの報に小躍りした。だが、これまたハコが約700と小さすぎ、サイバーダフ屋の格好の餌食となってしまい、ぴあの店頭に1番に並んでも買えない珍事まで起きた。当然私もチケットは手にすることができず、いつもなら遠征を厭わない私ですら、「アホクサ!」と匙を投げていた。

ところが、「SWITCH」の20周年記念で「井上陽水x奥田民生」スペシャル・ライブを行うという。それもタワレコでSWITCHを買った人だけが応募できる形の無料招待だという。しかも場所は奇しくも恵比寿。もう参加することに意義があると言わんばかりのオリンピック精神でタワレコに急ぐ。店頭では最初5冊と思っていたのに、「コッパヅカシク」て2冊しか買わなかった私に対しても神は見放さなかった。ものの見事に当選を知らせるハガキがポストに入っていたのだ。そしてそのハガキを手にした僅か1週間後に、私は恵比寿に立っていた。

ハガキの整理番号は127番。6時の開場までに来れば番号順で入場できると書いてあり、万難を排してダッシュで日比谷線に飛び乗り恵比寿へ。駒沢通りを東へ少し歩くと、そこに恵比寿リキッドルームはあった。2階のロビーへ上がる途中に、SWITCHの陽水氏と民生氏の特集号のポスター。俄然気持ちが盛り上がってくる。暫し待っているとセリさんが入っていかれるのが見えた。一部ファンの方々にご挨拶も間もなく入場。どうせオールスタンディングなんだろう・・・と地下のホールに入ると・・・え?パイプ椅子が並べてある!既に3列ほどは座っており、5列目のやや左手寄りに席を確保。入場時に払った500円のドリンク・バッジを手にビールを一杯。幾つかある花の中に、先日「空想・・・」で競演されたサックス・プレーヤー菊池さんのものがあり、演奏同様ああ見えて結構気を遣う人なんだなと思ったりしつつ開演を待つ。会場を見渡すと、民生ファンと思しき若めな女性ファンが多いようで、なんとなくとまどう陽水ファン(笑)

7時を過ぎ、大きな電光スクリーンを引っ張り出してきて、何かと思えばSWITCHの20周年の感謝の言葉・・・そしてスクリーンは引っ込む(ヲイヲイ、最初から出しとけよ・・・と軽く突っ込みをいれる)。そして7時15分頃にようやく2人が登場!! 左手に民生氏、右手に陽水氏。民生氏はグリーン系のチェックのシャツ、陽水氏は薄いピンク系(?)のシャツにジーンズのラフな格好で、椅子に座ってギターだけでのセッションのようだ。

「なんか段取りがわからん」とつぶやく民生氏(笑)。そしてビートルズ・ナンバーからスタート。聞いたことはある曲なのだがタイトルが・・・。この二人、声質は全然違うのに何故かハモるとイイ感じになる不思議。そして民生氏の、ミスター~~ムーンライト~~~という雄叫び(?)へ。水を飲みリラックスして悠々と歌いMCを主導する陽水氏に対して、少し緊張しているのか無口でタバコをふかしたり缶ビールを口にしたりの民生氏の構図が面白い。ギターの演奏負担は民生氏が背負ってるワケで、かなりのプレッシャーなんだろうな。それにしても、そしていつにも増して陽水氏の口が滑らか。正にMCが炸裂状態!民生ファンもかなりびっくりしたんじゃないだろうか・・・でもいつもあんな人です陽水氏は(笑)。想像するに、ソロのライブだと、そして特に東京あたりだと観客が静かで反応が薄いのが、今日は民生氏が横にいて「会話」形式で喋れるのが氏をリラックスさせている要因なのだろう。他方で民生氏は、曲が終わるとチューニングをして次の曲の備えをしなくちゃいけない。陽水さん、ちゃんと弾いてくれないし・・・なんてところか。

SWITCHが20周年という話から、「民生氏ももう20周年?」「いやまだまだ(OT氏)」、「私なんかカウント不可能になってきて・爆(YI)」、「今日は同時にアルバム「ショッピング」の発売記念で・爆(YI)」、「10年くらい前に出したのにライブをやってなくて(YI)」などと言いながら、しっかり「ショッピング」の曲へ持っていく陽水氏のMCのウデはサスガ!。「侘び助」、「カラフル」とも、陽水氏が気持ちよく歌う高音部を聞いていると、こちらまで気持ち良くなってくるから摩訶不思議だ。

「どうして今回二人でやるようになったんだっけ?」などと聞く陽水氏。「一緒に曲を作ろうか」みたいな感じになって、「きっかけがあれば働き者の二人」なので・・・「みうらじゅんと安西さんが旅先でやってるアレ」のような感じで、とりあえず「生まれ育ったところを曲にして」ということになり、とりあえず2曲できた・・・そして「HIROSHIMA」へ。3/4拍子で「紙屋町」とか「天満屋」とか広島の町の名前やデパート名など織り込んだ、ホノボノしたなんとも懐かしい感じのイイ曲。陽水氏の「海の中道」は、そこにホテルがあって曲を提供して永久無料宿泊券を貰ったとか!?リズムボックスを入れて、ルンルンするような感じのメロディーで、何故か民生氏のリードで歌うが陽水氏がI Love you・・・みたいなハモリを入れて、「海の中道、空の中道~~」と伸ばしていくところが、いかにも陽水氏が作りそうな感じの曲。これもイイ!

そうそう二人の出会いみたいな話になって、民生氏が陽水氏のことは「知ってはいたけど・・・広島だから拓郎さん」みたいなことで、「私の印象は特になく、あなたの目の前を通り過ぎた・・(爆)」と陽水氏。民生氏の印象を、いつも「ぶ~~」としてるなどとダイレクトにのたまう陽水氏がオカシイ。とにかく思い出すのも難しいほど、陽水氏のMCが延々と続き、会場は爆笑に次ぐ爆笑。ところが何の前フリもなく突然、「いつものように」おもむろにギターを爪弾き始める陽水氏に、「え?もう始めるんすか」と苦笑いの民生氏の構図も、漫才のボケとツッコミのノリでオカシイ。今回は「56倍?」の競争率(いつもの「口から出任せ」的なのですが)を勝ち残ったラッキーなお客さんばかりなので、そういう雰囲気があってということを何度も言っていたっけ。

ビートルズの話もしていたが、ジョンが好きな分だけポールが「手薄に」なっていて・・・(笑)、ポールの「甘ったるい」曲も10,20代でどうなの?って感じも、民生氏が今歌えばいいだろうということで「Yesterday」。これがまたいいんだ。お客さんの反応を聞いてみたいと言っていたが、ひと際大きな拍手がそれを物語っていた。「プロデューサー」としての私の目が正しかったと嬉しげな陽水氏。

今回、大体の曲は一緒に歌うか、最初民生氏で2番は陽水氏みたいな感じだったが、民生氏の歌い方って、ぶっきらぼうな感じなんだけど、なんか聴き手に届いてくるような不思議な雰囲気を持っていたのが印象的。例えば陽水氏の楽曲で、優しくソフトなそして哀しげな雰囲気を醸し出す陽水氏のボーカルじゃなきゃ駄目だと思っていた「結詞」や「海へ来なさい」が、民生氏のそのようなボーカルが結構ハマルのだ。つらつら考えるに、「ぶ~」としているそういう「お世辞抜き」みたいな雰囲気が、却って聴き手にストレートに伝わってくるのだろうか。陽水氏の「雪が降る町」は氏のライブで何度か聞いたが、ぴったりハマっていると思う・・・というか、民生氏が歌っているオリジナルを聴いたことがないだけなのだが(笑)。

そして、「陽水さんの話が長くなかったらアンコールも含めとっくに終わっている(OT)」と言い、「皆さん方一人ひとりにステージに上がってお悩みなど聞きたいくらい(YI)」と返し、「こんだけ引っ張って終わりは突然ですからね(OT)」と笑いを取りながら終盤戦へ。「最後のニュース」は民生氏もカバーしているが、一緒に歌うと歌詞の「間」の取り方の違いが浮き立って、それはそれで一興。それにしても民生氏、あの歌いにくい曲を良く歌えるもんだと感心しきり。そしてホンチャン終了。

アンコールの長い拍手も、いつもの陽水氏のライブとは違い、だんだん速くなってはまたゆっくりに戻しの繰り返しが妙に新鮮。陽水氏の長いMCで時間を超過していると思ったら「引っ込んでみたら予定通りだった!」「計算してたんじゃないんスカ」と驚く民生氏。陽水氏は「ラッキーなお客さんのお陰」でなどとかわしていたが、あながちそうも言えない気がしてくるのが陽水氏なのです。やっぱりアンコールは、この曲のお陰でという「アジアの純真」、そして陽水氏のブルースハープで「夢の中へ」。これまた陽水氏のライブでは手拍子が定番の2曲だが、どうも民生氏のファンの方々は体を揺するだけ?このあたりの微妙な客席の空気感も面白い。締めは予想通り「ありがとう」。いや~~~改めて聞いてみて、ホントいい曲だよね~~~。終了のアナウンスをもろともしないWアンコールの拍手も空しくこれで終了。最後時計の針は9時を回っていた。「楽屋で二人でハモっているときはホントに上手くいくんですけどね」などと言って緊張気味だった民生氏も、最後の方ではリラックスしていて楽しい一日だった。ご両人、スタッフの皆さん、そしてこんな素晴らしいライブを観られる機会をくれたSWITCHの方々、「あ~~り~~がとお~~~!!!」

終了後、ロビーでは20日に発売の、井上陽水x奥田民生特集が掲載された「SWITCH」の前売り(?)。それにSWITCHの会場限定という、両袖に井上家と奥田家の家紋入り(笑)のTシャツ販売・・・うっかり買っちゃいました(爆)

(Set List) 以下、ビートルズ・ナンバー(BN)、井上陽水(YI)、奥田民生(OT)
1.BN(I'll Be Back)
2.BN (Mr.Moonlight)                          
3.侘び助
4.カラフル
5.HIROSHIMA(新曲1)
6.海の中道(新曲2)
7.結詞
8.BN(Things we said today :邦題「今日の誓い」)
9.BN (Yesterday) (OT produced by YI (?)
10.月ひとしずく
11.手引きのようなもの
12.海へ来なさい (OT)
13.雪が降る町 (YI)
14.The STANDARD (OT)
15.最後のニュース
アンコール
16.アジアの純真
17.夢の中へ
18. ありがとう

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コメント

コメントありがとうございました。
ライブレポは回を重ねる毎に難しくなってゆき、皆さんの期待は更に上をゆく~~って感じでしょうか。
また遊びにいらしてください。

投稿: HIRO@YOKOHAMA | 2005年11月21日 (月曜日) 23:25

お久しぶりです。
ほっとなライブレポート、有難うございました。たのしく拝見しました。

投稿: 木陰 | 2005年11月21日 (月曜日) 04:28

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